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haka.jpgラーゲルレーヴ生誕150年

今年2008年は、『ニルスのふしぎな旅』の作者セルマ・ラーゲルレーヴの生誕150年にあたります。

左上の写真は、ラーゲルレーヴの故郷、モールバッカに近い東エムテルヴィーク教会にある彼女のお墓です。墓碑にあるように、1858年11月20日が彼女 の誕生日なのです。亡くなったのは、1940年3月16日と刻まれています。彼女が故郷のモールバッカをいかに愛していたかは、『ニルス』の49章「小さ な屋敷」に、とてもよく描かれています

ストックホルムの王立図書館(左下の写真)では、今年生誕150年を記念して、「セルマ・ラーゲルレーヴ1858-2008...」という展示が行われま した。『ニルス』の訳者としては、これを見逃す手はありません。この夏のスウェーデン訪問の目的のひとつは、この展示を見ることでした。左中央は、そのカ タログです。表紙の写真、ほぼ中央に写っているのが、セルマ・ラーゲルレーヴです(1912年2月フィンランドのヘルシンキで撮影されたものだそうで す)。


展示自体はさほど大掛かりなものではありませんでしたが、展示品のなかには、『ニルスのふしぎな旅』の手書き原稿もありました。1章の書き出しは、いまでも暗唱できるくらいに、スウェーデン語の原文も自分の訳文もよく覚えています。その部分の何か所か直しの入った原稿をまのあたりにして、私はすっかり感動 してしまいました。涙があふれそうになったくらいです。また、彼女の自筆の手紙もたくさんのこっていました。手紙の内容も、とても興味深いものがありまし た。


この夏スウェーデンを訪れて、この展示を見られたことはもちろんですが、スウェーデンの友人たちと『ニルス』の話をするたびに、この名作を訳すことができ て本当によかったという思いを、あらためて強くしました。『ニルス』のこと、作者自身のことを、もっともっと日本の皆さんに知ってもらえたらいいなあと思 います。
(2008年9月17日)