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スウェーデンの友人知人に、「日本語には、漢字、ひらがな、カタカナの3種類の文字があるのよ」と話すと、たいていの人はびっくりします。
さらに、「日本語の文章では、ひとつひとつの文字に意味がある漢字(表意文字)と、音だけをあらわすカタカナとひらがな(表音文字)を交ぜて書く」とつけくわえると、「えーっ、なにそれ?」、「複雑でよくわからん」というリアクションがしばしば。
そしてダメ押しに、「ひらがなとカタカナはそれぞれ50字近くあって、漢字は小学校6年間でならうのが1,000字ちょっと。でも、これだけでは新聞やおとなの本を読むには、十分ではないのよね」と説明すると、たいていは「そんなにたくさんの字をおぼえているなんて、すごーい!」と、尊敬のまなざしで見られます。

表意文字と表音文字を交ぜて書くという、世界でもめずらしいこの日本語の書き方は、日本最古の歴史書『古事記』(712年)にまで、さかのぼることができます。当時はまだ、ひらがなもカタカナもなかったので、固有名詞や歌などには、ひとつの漢字にひとつの音をあてて、漢字を表音文字として使っているのです。

稗田阿礼(ひえだのあれ)があんしょうしたものを、太安万侶(おおのやすまろ)が書きしるしたのが、『古事記』なわけですが、表意文字と表音文字を交ぜて日本語を書くことを思いついたのが、太安万侶だったとしたら、この人、ことばの天才にちがいありません!

文字の種類が3つもあるのは、たしかに、学ぶにはたいへんです。でも、そのぶん、日本語の文章が豊かになる、ということでもあります。

下の写真をごらんください。おなじ人でも、漢字、ひらがな、カタカナの組み合わせ方によって、字面から受けるイメージがずいぶんと変わるのではないでしょうか。

日本語って、やっぱり、おもしろいですね。

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